4年間の大学非常勤講師経験から
2025/01/19
非常勤講師として、摂南大学に勤務しています。4年間続けましたが、本業の余裕がなくなってきたことと、本業をさらに時間を使うために自分の時間を生み出そうと思い、今年度で辞めさせていただくことにしました。これまで非常勤講師として働いてきたことをもとに考えたことを書いてみたいと思います。
非常勤講師の内容は「BIMを教える」ということで授業ではBIMソフトを用いて、ある建物をモデリング(バーチャルに建物を建てる)し、図面やパースを作ることをやっています。
BIMとは
引き受けるきっかけ
独立を考えていた時に大学の先輩にお誘いいただき始めましたが、当時は受けるかどうか悩みました。当時は尼崎に住んでいて、寝屋川のキャンパスに通うのは今ほど距離は遠くなかったので、時間の心配はあまりなかったのですが、自分が教育に携わることに自身があまりありませんでした。教育はとても重要な仕事だと思います。教育の在り方次第で関わる学生の人生を大きく変えてしまうこともあると思います。(教育だけがそうであるというわけではないですが)自分なんかがという思いがあったのですが、「BIMを教えてほしい、設計とBIMの両方がわかる現役世代としてお願いしたい」ということだったので、そうした役割を担えるとしたら自分は適任かもしれないと思って、引き受けました。
何を伝えられるか
ただBIMソフトの使い方を覚えるだけであれば、大学でやる必要はないように感じていました。一方でBIMソフトに触れるだけでも価値があるとも感じています。
私は設計者としてBIMソフトを活用しているので、設計や施工とBIMがいかにつながるか、どんな関係があるかということを少しでも伝えたいと思ってやってきました。また建物を建てるプロセスを経験しながらモデリングすることで、少しでも施工のプロセスをイメージできないかということを考えました。
BIMは仮想で建物を構築していくので、建物を作っていくうえで細かいことが気になります。詳細がわからなければBIMを使うのは危険という見方もできます。私もきをつけなければいけないと思いますが、とにかく触ってみるということも大切だと思います。時間が限られていることもあり、授業ではとにかくBIMに触れてみるというを心掛けていました。
自分の学生時代との違い
私が学生の時にはBIMという言葉はほぼ耳にしませんでした。BIM元年と言われるのが2009年で16年前なので、自分のアンテナに入ってこなかったということだと思います。今の学生にとっては普通に耳にする言葉だと思います。さらに、生成AI、DX、ロボット、、、デジタル分野に関する様々な話題が出ている時代だと思います。さらに時代の象徴として、人口減少と少子高齢化があります。今の学生が社会に出て、活躍する頃には今よりもさらに現役世代、働き手不足の時代になっていると思います。
私が学生時代の頃は将来のことなんてぼんやりとしか考えていませんでした。そんな自分が今の学生に向かって将来のことを考えようなんておこがましいと思います。これだけ変化が早く、課題が山積みの時代において、自分の将来や自分について考えておく必要があるように思います。こんな時代であるからこそ、活躍できる場面は多く、その場面というのは、すでに考えられていたり存在する場面とは違う新しいところにあるような気がしていて、自分もそれをしっかりと意識したいと思います。
そんな中、建設業界は旧態依然のままでいられないのは自明です。それは教育も同じではないでしょうか。大学での教育だけではなく業界全体として、将来を担う人たちをどう育てるか。建築分野が社会に貢献できる状態を維持し発展させることができるかどうかは我々現役世代が未来の世代に残すべき大きな役割だと思います。
伝えることの難しさ
私が学生の時は授業を真剣に聞いていないことが多かったです。授業以外にも学生は忙しいので、授業に100%やる気が出なかったり、休みたかったりするのは仕方がないと思います。自分なりに伝えたいことを盛り込んだりするのですが、「なかなか伝わっていないだろうな」と感じることが多かったです。人に伝えることの難しさを痛感します。さらに工夫できることはたくさんあったのだろうと思います。大学生である時間はとても貴重な時間だと思うので、価値を感じない授業に出るくらいなら、他のことをする方がいい、と思っているので、少しでも魅力的な役立ちそうな授業をすることを心掛けていました。
これからも教育をしてみたいか
教育には興味があります。ただ自分がもっといろいろな経験をして、伝えられることを吸収しないといけません。大学で勉強しなおすことにも興味があります。建築の仕事に就いて、独立して、地方で過ごして、色々な経験を経たからこそ、様々なことに興味が出ていて、自分がこれかなと思うことが見つかったら、それを掘り下げるという人生もありだろうなと思っています。そうしたことを経て、自分の役割があると判断できればまた教育という場所で自分の価値を見出せるかもしれません。
今はだれかと一緒に働くことで、その人たちと一緒に成長していくことが目標です。それはスタッフであり、協働者であると思うのですが、それも自分と他者への教育であるのかもしれません。
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